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Experience Sampling Method (ESM)

経験サンプリング法

"...the Experience Sampling Method (ESM), a research procedure that consists of asking individuals to provide systematic self-reports at random occasions during the waking hours of a normal week....The ESM obtains information about the private as well as the public aspects of individuals' lives, secures data about behavioral and intrapsychic aspects of daily activity, and obtains reports about people's experiences as they occur, thereby minimizing the effects of reliance on memory and reconstruction.”

Larson, R., & Csikszentmihalyi, M. (2014). The experience sampling method. In Flow and the Foundations of Positive Psychology (pp. 21-34). Springer.

経験サンプリング法 (Experience Sampling Method: ESM)とは

日常生活を送っている調査対象者から、一日数回×数日間にわたり、定刻もしくは無作為な時刻におけるデータ収集を行うという調査手法です。調査対象者本人が、いま何をしているのか、周りの状況はどうなっているのか、どんなことを感じたり考えたりしているのか等について、自己報告をすることが中心となっています。ただし、客観的測定・記録デバイスを併用することにより本人の報告に頼らないデータ収集を行うこともあります。

*Ecological Momentary Assessment (EMA) もほぼ同義で用いられますが、こちらは医療現場から端を発しており、生理指標測定を中心とする(もしくは併用する)ことが多いという特徴があります。また、データ収集頻度が1日1回である場合は、Diary Method(日誌法)と呼ばれます。上記3種( ESM, EMA, Diary Method) を総称して、集中的縦断法 (Intensive Longitudinal Methods) という名称が使われることもあります。 

メリット

・Ecological validity: 生態学的妥当性が高い。 対象者の日常における経験について、その場で回答を求めることができる。

・Temporal resolution: 時間的解像度が高い。 高頻度のデータ収集により、時間的変化や因果関係についても検討できる。

・Statistical power: 統計的検定力が高い。 ひとりの回答者から数十回分の回答を集めるため、大きな検定力が得られる。

実施方法について

1970年代にESMが使われ始めた当初は、日記帳を持ち歩いてアラーム時計が鳴るたびに記入するというアナログな方法が用いられており、調査回答者にも実施者にも大きな負担がかかっていました。

2010年代以降、モバイル機器の普及と通信環境の充実により、経験サンプリング法による調査の実施が圧倒的に実施しやすくなりました。調査対象者自身が常に持ち歩いているスマートフォンを通じて、回答タイミングのお知らせ(シグナル)を受け取り、その場で回答できるようになったからです。

スマートフォンを通じた経験サンプリングを実施するためのツールは、欧米において、いくつか開発されています。しかし、そのいずれも、日本の通信環境や言語表示に適していない、あるいは非常にコストがかかるなどの問題が多かったため、国内でのESM調査の実施には大きな壁が立ちはだかっていました。

この障壁を取り除き、ESM調査の実施しやすさを飛躍的に高めたのが、Exkuma(エクスクマ)です。

日本国内で経験サンプリング法の調査を実施するのであれば、Exkumaを第一にお勧めします。

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Exkumaの特長: LINEでお知らせ、Webブラウザで回答。

回答タイミングのおしらせ(シグナル)がLINEメッセージとして届きます(下図左)。調査回答者は、自身のスマートフォン上でLINEメッセージを開き、そこに含まれるURLをクリックします。すると、Webブラウザ(Chrome, Safariなど)上で調査設問がひらき、その場で回答ができるという仕組みです。

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Exkumaのチュートリアル(操作説明)はこちら

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一般社団法人 日本経験サンプリング法協会 (Japan Experience Sampling Method Association; JESMA)

経験サンプリング法を用いた研究活動の促進および研究コミュニティの活性化を支援するために、以下活動を行っています。

  • ​研究支援

経験サンプリング法を用いた研究に役立つ情報提供を行います。研究支援制度にもぜひご応募ください。

  • 研究ツールの提供

経験サンプリング法を用いた調査を実施するために役立つ研究ツールの販売や紹介を行います。

  • セミナーの開催

経験サンプリング法に関するセミナーを開催し、幅広い分野での活用を促進します。

過去のセミナーは動画でご覧いただくこともできます。→ ESMチュートリアル動画

*尾崎はJESMAの代表理事を務めています。ただし、JESMAは営利を目的とせず、代表理事は報酬を一切受け取っておりません。

JESMAのWebサイトはこちら

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文献資料

経験サンプリングに関する尾崎の拙稿です。参考になりましたら幸いです。

ESMの紹介とツール解説:Exkumaで経験サンプリング法 → 心理学ワールド 97号 (2022年)

私たちのチームによる国内調査の実績について → 東洋大学HIRC21 年報(2014年度)

心理学各領域における経験サンプリングの応用可能性について → 現代人のこころのゆくえ4

経験サンプリングのデータによる論文発表 → Ozaki et al. (2017). Counteractive control over temptations: Promoting resistance through enhanced perception of conflict and goal value. Self and Identity, 16(4), 439-459.   

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